VRS測量とTKY2JGD

座標の種類

 ご存知のように、VRS等のネットワーク型GPS測量は電子基準点のデータからの配信データにより位置が決定されています。つまり、「使用した既知点」は電子基準点ということになります。

 ネットワーク型GPS測量や電子基準点だけを既知点としてSTATIC測量で決定された座標を、仮に「電子基準点系座標」と呼ぶことにします。

 また、三角点や基準点(1〜4級)を既知点として決定された座標を「三角点系座標」、TKY2JGDにより変換された座標を「変換系座標」と呼ぶことにします。

 同一点の座標をこれらの方法で決定し、それらが全て一致するのであれば何も問題はありませんが、残念ながら多くの場合これらは全て異なる値になります。

TKY2JGDの変換誤差

 これについては今更述べる必要はないと思いますが、例えば旧成果の座標値を持つ筆界点をTKY2JGDにより変換し、前述の「電子基準点系座標」または「三角点系座標」から復元する場合は、その変換誤差が問題になります。

 正しく復元するためには、それぞれの「○○系座標」との差を求め、それを変換座標に補正する必要があります。補正量を求めるためには、近傍に旧成果を持った基準になる点の存在が必要です(あるいはTKY2JGDにより変換された点)。

補正計算

 この例は数値地籍地区における復元測量のための補正計算を行ったものです。
(本プログラムではありません。この程度はエクセルで簡単にできるでしょう)

 図根点MM311-1が残存していたので、それをGPS-STATIC測量により設置した基準点から観測し、図根点をTKY2JGDにより変換した値との差(実測値−TKY変換値)を求め、
その差をそれぞれの筆界点のTKY2JGD変換値に補正したものです。
図の「変換基準点」は、変換による誤差を計算するために基準とした点という意味です。

 離れた点の変換誤差と現地の変換誤差は厳密には異なりますが、数百mの範囲であれば影響はありません。検証の方法は、次の図を参照。

 本プログラムを利用し、「変換基準点」と復元区域の任意の点を変換し、変換前の2点の距離と変換後の距離を比較します(この例では4.9mm)。 
  厳密には、「変換基準点」と復元区域の変換誤差は、この距離の差により決められるものではありませんが目安にはなるでしょう。私の「縄張り」は、ほとんどが図解法の甲3、乙1の区域ですので、1km離れた「変換基準点」でも数cmの差で影響はありません。

 この例ではGPS-STATIC測量による基準点により変換誤差を求めましたが、実測値がVRS測量によるものであるときは、数センチ程度の誤差を持つため、数値地籍地区の復元については、「実測値」の決定についてはより一層の慎重さが要求されます。図解法の場合は、VRS観測値の誤差は無視して構わないでしょう。